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接骨院の基礎知識

柔道整復療養費の「オンライン請求」、いまどこまで決まっている? ― 院長先生が今から準備できること

毎月の療養費支給申請書の作成と提出は、院長先生にとって欠かせない一方で、手間のかかる仕事です。保険者ごとに申請書を仕分け、郵送し、返戻があれば対応する。この流れを「いつか楽にならないものか」と思ったことのある先生は多いはずです。

実は国では、柔道整復療養費の請求を「オンライン」で行う仕組みづくりが、何年も前から検討されています。ただ、ニュースで断片的に耳にするだけで、「いつから」「何が変わるのか」がはっきりしない、という声もよく聞きます。

このコラムでは、厚生労働省のワーキング・グループ(以下、WG)の資料をもとに、2026年10月時点で決まっていること・まだ決まっていないことを整理し、院として今から準備できることをお伝えします。

なぜ「オンライン請求」の話が出ているのか

きっかけは、政府の規制改革実施計画です。2022年6月の閣議決定では、柔道整復療養費について、公的な関与のもとで請求・審査・支払いが行われる仕組みと、オンライン請求の導入を検討することとされました。さらに2023年6月の閣議決定では、請求が原則オンラインで行われるために必要な措置を検討するとされています。

これを受けて厚生労働省はWGを立ち上げ、2025年3月に「中間とりまとめ」を公表しました。その後も検討が続き、2026年7月8日には第12回のWGが開かれています。

中間とりまとめで示された方向性

中間とりまとめでは、オンライン請求の目的として、施術所への確実な支払い、請求代行業者などによる不正の防止、施術所や保険者の事務の効率化、審査の質の向上と基準の標準化などが挙げられています。また、法令は改正せず、受領委任の仕組みそのものは維持するという考え方が示されました。主な方向性は次のとおりです。

テーマ中間とりまとめで示された方向性
審査・支払い審査支払機関が関わる事務フローを基本とし、国保連の事務の流れを参考に検討する
審査のしかたコンピュータチェックを導入し、多部位や長期・頻回の施術などを点検する。全国で標準的な審査基準をつくる
紙の申請書導入後は紙の申請書やDVD・USBなどの電子媒体での請求は認めず、オンラインに限る。そのため十分な準備期間を設ける
患者さんの署名紙への手書き署名に代えて、療養費の受領を電子的に委任する仕組みにする
施術所の管理施術管理者の番号は残しつつ、施術所単位で管理する。振込口座は施術所ごとに事前登録する
明細書オンライン請求の導入までに、できるだけ早く明細書発行の完全義務化について議論を進める
復委任(請求の取りまとめ)関与させない意見と、一定の条件で認める案の両方があり、引き続き検討する

特に「紙の申請書は認めない」という方向性は、手書きや紙中心で請求している院にとって大きな変化です。

いつから始まる? ― 稼働時期はまだ決まっていません

いちばん気になるのは時期だと思います。中間とりまとめでは、当初の令和8年度稼働という目標を見直すこととされ、新しい稼働時期は、今後の実務的・技術的な課題の整理をふまえて専門委員会を中心に議論するとされています。あわせて、関係者の準備にかかる負担や期間を十分に考慮することも明記されました。

2026年7月の第12回WGでも、ゴールを見すえたロードマップを策定すべきだという意見が出ている段階です。つまり、2026年10月時点では「○年○月から義務化」といった日程は決まっていません。「来年から紙が使えなくなる」といった話を見かけたら、厚生労働省の資料で確認するようにしてください。

2026年7月のWGで話し合われたこと

第12回WGの議事要旨からは、具体的な議論の様子が分かります。主な意見を整理すると、次のようなものです。

  • オンライン請求全体の事務フローの策定が最優先であり、審査の標準化に向けてできる限りフローを統一すべき
  • コンピュータチェックの内容は、施術者側と保険者側の双方から人を出したプロジェクトチームで検討すべき。最終的な返戻や不支給は人の目で判断すべき
  • 導入後は、患者さんがマイナ保険証をカードリーダーにかざすことを署名として扱えるのではないか
  • 施術所だけで安全なネットワークのセキュリティを用意するのは費用面で難しい

これらはあくまでWGで出された意見で、決定事項ではありません。ただ、マイナ保険証による資格確認や明細書の発行が、将来のオンライン請求とつながって議論されていることは押さえておきたいポイントです。

今から院でできる準備

制度の細部が決まるのはこれからですが、方向性からみて、どの院にとっても役に立つ準備があります(ここからはコムネットとしての考えです)。

準備理由
請求をレセコンでデータ化しておく紙に手書きの運用から、データで管理する運用に慣れておくと、オンライン化の際の移行がスムーズになります
オンライン資格確認を毎回きちんと行う受領委任を行う施術所では、2024年12月2日以降、オンライン資格確認の導入が原則義務化されています。署名の電子化の議論ともつながっています
明細書を毎回発行する体制にする2026年7月の改定で、明細書発行加算は交付のたびに算定できる形になりました。完全義務化の議論も進んでいます
パソコンやネットワークの安全対策を見直すOSの更新、パスワード管理、バックアップなど基本的な対策は、オンライン化の前から大切です
情報の入手先を決めておく厚生労働省のWGのページや、所属団体からの案内など、確かな情報源を定期的に確認しましょう

2026年7月の料金改定の内容は、2026年7月 柔道整復療養費料金改定についてでもまとめています。

患者さんへの説明やホームページも、少しずつ準備を

オンライン請求が始まると、患者さんの側でも、署名のしかたや受付の流れが変わる可能性があります。具体的な内容が決まった段階で、院内掲示とホームページの「初めての方へ」などのページで、早めにお知らせできるようにしておくと安心です。ホームページを日ごろから更新できる状態にしておくことも、立派な準備の一つです。ホームページの役割については、接骨院がホームページを持つ意味のコラムでもご紹介しています。

コムネットにできること

コムネットは、柔整師用療養費請求システム「レセジョ~ズ」の開発・サポートと、接骨院・整骨院のホームページ制作・保守を手がけています。制度の動きを追いながら、レセジョ~ズをご利用の院に必要な情報をお届けしていきます。

「紙の請求からレセコンに切り替えたい」「制度が変わったときに、ホームページですぐお知らせできるようにしたい」といったご相談も歓迎しています。お気軽にお問い合わせください。

※本記事は2026年10月時点で公表されている厚生労働省の資料をもとにした一般的な解説です。オンライン請求の内容や時期は今後の検討で変わる可能性があります。最新の情報は厚生労働省の資料をご確認ください。

出典

執筆:有限会社コムネット(接骨院・整骨院向けレセプトソフト「レセジョ~ズ」開発元/ホームページ制作)

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