2026年7月の療養費改定、院長先生がホームページで見直したいこと ― 「単価アップ」と「2部位目80%」の両方を見る
2026年7月1日から、柔道整復師の施術に係る療養費の料金が新しくなりました。院長先生のなかには、「レセコンの更新は済ませたけれど、結局うちの院にとってプラスなのかマイナスなのか、まだよく分からない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
今回の改定は、単に料金が上がっただけではありません。2部位目の扱いや初検料のルールなど、日々の請求の考え方そのものが変わっています。そしてその変化は、院の経営やホームページの役割にもつながっています。
このコラムでは、厚生労働省の通知で確認できる改定のポイントを整理し、そのうえで「ホームページで何を見直せばよいか」を、院長先生の目線でお伝えします。
まず押さえたい数字 ― 主な料金はこう変わりました
今回の改定率は全体で+0.60%です。厚生労働省の専門委員会では、診療報酬改定の医科の改定率(+0.28%)に加え、物価の動きをふまえて上乗せした結果、+0.60%になったと説明されています。
主な料金の変化は次のとおりです(令和8年6月1日 保発0601第4号より)。
| 項目 | 改定前 | 改定後(2026年7月1日施術分から) |
|---|---|---|
| 初検料 | 1,550円 | 1,560円 |
| 再検料 | 410円(初回の後療日のみ) | 420円(初回と2回目の後療日) |
| 施療料(打撲・捻挫) | 760円 | 770円 |
| 後療料(打撲・捻挫) | 505円 | 550円 |
| 温罨法料 | 75円 | 80円 |
| 冷罨法料 | 85円 | 80円 |
| 電療料 | 33円 | 46円 |
| 明細書の加算 | 明細書発行体制加算 10円(月1回まで) | 明細書発行加算 10円(交付するたびに) |
なお、コムネットの療養費請求システム「レセジョ~ズ」の対応内容は、2026年7月 柔道整復療養費料金改定についてのページでご案内しています。
「上がった」だけではない ― 2部位目80%と初検料のルール変更
今回いちばん注意したいのは、多部位の扱いです。これまでは3部位目から所定料金の60%で算定していましたが、改定後は2部位目も所定料金の80%で算定することになりました。2部位目の逓減の対象は打撲と捻挫で、後療料・温罨法料・冷罨法料・電療料にかかります。
つまり、1部位目の後療料は上がった一方で、2部位の施術が多い院では、上がった分の一部が逓減で相殺されることになります。
初検料のルールも変わりました。負傷が治った日、または患者さんが施術を中止した日の翌日から3か月以内に同じ施術所で施術した場合は、別の負傷や部位であっても初検料は算定できません。そのかわり、1か月を過ぎていれば、連続する2回まで再検料が算定できます。改定前は「中止から1か月以上たてば初検として扱う」というルールだったので、3か月以内の再来が多い院ほど影響を受けます。
このほか、柔道整復師が自分自身に行う施術(自己施術)と、家族や関連施術所の開設者・従業員に行う施術(自家施術)は、療養費の支給対象外であることが明記されました。
改定率と、院が実際に受け取る額は別のもの
「過去10年で大きめのプラス改定」と聞くと安心したくなりますが、専門委員会の議事録を読むと、施術者側の委員からは、過去10年はおおむねプラス改定だったにもかかわらず、実際の支給額は約1,200億円縮小しているという指摘が出ています。改定率だけで良し悪しは判断できない、という趣旨です。
また委員会では、今回の見直しで施術の状況がどう変わるかを検証し、次の改定(令和10年)に向けて引き続き検討するという方針も示されています。療養費の仕組みは、今後も見直しが続くと考えておいたほうがよさそうです。
こうした流れのなかで、多くの院長先生が考えているのが「保険の施術だけに頼らない院づくり」です。そのとき、ホームページは大きな役割を持ちます。
自費メニューこそ、ホームページでていねいに伝える
令和7年2月に出された「あはき・柔整広告ガイドライン」では、ウェブサイトは原則として広告とは見なさないとしたうえで、ウェブサイトに掲載すべき事項として、次のような内容を挙げています。
- 自費の施術の内容と、通常必要とされる費用
- 回数券などを販売する場合は、その内容や契約内容
- 自費の施術の主なリスクや副作用
- 掲載している情報についての問い合わせ先
つまり、自費メニューを始めるなら、料金や内容、注意点をホームページで正しく説明することが、ガイドラインの考え方にも合っているということです。反対に、「絶対に治る」といった表現や、加工した施術前後の写真、ほかの院との比較で優位性を示す表現は、掲載すべきでないものとして例が挙がっています。くわしくは広告ガイドラインで変わったことのコラムもご覧ください。
もう一つ、保険と自費の境目にも注意が必要です。今回の改定に合わせた通知では、初検の結果、負傷と認められる徴候がなく初検料のみを算定した場合には、療養費の支給対象外の施術にかかる費用を患者さんに請求することもできないと明記されました。保険の施術と自費の施術がどう違うのかを、院内の説明とホームページの両方でそろえておくと、患者さんとの行き違いを防ぎやすくなります。
明細書は「毎回」の時代へ ― 患者さんへの案内も見直しを
明細書の加算は、これまでの「月1回まで」から、「明細書を交付するたびに算定できる」形に変わりました。専門委員会では、明細書を毎回発行することで施術内容を患者さんと共有し、透明性を高めるねらいが説明されています。また、改定案では明細書に「負傷名又は施術部位」を記載する欄を設ける方針も示されました。
患者さんにとっては、「毎回明細書を渡される」「部位が書いてある」ことが新しい体験になります。ホームページの「初めての方へ」や「料金について」のページで、明細書を毎回お渡ししていることと、大切に保管していただきたいことを書いておくと、受付での説明が楽になり、安心感にもつながります。
今すぐできる、ホームページの見直しチェック
最後に、改定をきっかけに見直したいポイントをまとめました(コムネットによる例示です。院の状況に合わせて調整してください)。
| 見直す場所 | 確認すること |
|---|---|
| 料金のページ | 保険の施術と自費の施術を分けて書いているか。自費の料金・内容・回数券の条件が分かるか |
| 自費メニューのページ | 施術の内容、通常必要な費用、主なリスクや注意点を書いているか。断定や比較の表現がないか |
| 初めての方へ | 明細書を毎回お渡しすること、保管をお願いすることを書いているか |
| 受付時間・お休み | 「診療時間」「休診日」など「診」の字を使っていないか |
| 保険についての説明 | 保険が使える範囲(外傷性の骨折・脱臼・打撲・捻挫など)を正しく書き、骨折・脱臼は医師の同意が必要な旨を添えているか |
そもそもホームページを持つ意味から整理したい先生は、接骨院がホームページを持つ意味もあわせてお読みください。
コムネットにできること
コムネットは、柔整師用療養費請求システム「レセジョ~ズ」の開発・サポートと、接骨院・整骨院のホームページ制作・保守を続けてきました。請求の現場と、患者さんに伝える側の両方を知っていることが強みです。
「改定に合わせて料金ページを整理したい」「自費メニューのページを作りたいけれど、どこまで書いてよいか不安」といったご相談も歓迎しています。今のホームページを見ながら、一緒に整理するところからお手伝いします。
※本記事は2026年10月時点で公表されている厚生労働省の通知・資料をもとにした一般的な解説です。個別の算定や請求の可否は、通知原文や保険者・地方厚生(支)局の判断をご確認ください。ホームページの表現については、最終的な判断は管轄の保健所等が行います。
出典
- 厚生労働省「『柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準』の一部改正について」(令和8年6月1日 保発0601第4号)https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/260605_01.pdf
- 厚生労働省「『柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等について(通知)』の一部改正について」(令和8年6月1日 保医発0601第1号)https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/260605_03.pdf
- 厚生労働省「第35回社会保障審議会医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会議事録(2026年4月30日)」https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/newpage_00274.html
- 厚生労働省「柔道整復師の施術に係る療養費の改定等について」https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/01-01.html
- 厚生労働省「あはき・柔整広告ガイドラインの概要」(令和7年2月18日)https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001412682.pdf